脱『生命保険』のススメ

【1】相談が終わり『私ずっと学資保険に入っていないことが怖くて怖くて仕方なかったんです』と、安堵された20歳のお母さんのはなし

学資保険の相談

今、私が生命保険の販売(勧誘)を伴わない、セカンドオピニオン相談だけの業務を行うきっかけとなったお客様がいます。当時はまだ来店型保険ショップ『ほけんの窓口』の店舗の中での相談であったので、お客様へ必要な生命保険をご契約いただくことが、会社の収益でありました。ただ、『学資保険に加入したい』という、まだ生まれてようやく外出できるようになったばかりの赤ちゃんを抱っこして来店されたそのお客様へは、教育資金のための保険には加入しないことをお勧めし、とても喜んでいただけました。

学資保険はなくても、学費の積立はちゃんとしていたお母さん

教育費の積立

『学資保険に加入したい』というご相談であったので、どうして学資保険に加入したいのか聞いたところ、

・親に勧められた
・ママ友がみんな入っている

ということで、ご自身では学資保険自体がどういうものなのかわからないということでした。確かにこういったことはありますよね。自分だけが乗り遅れているような不安感。ただ、どういうものかもわからずに加入してしまうと、トラブルのもと。まずは、学資保険がどういったものなのかということをご案内しました。

・主に大学入学へ向けての積立であること
・契約者となる父親か母親が亡くなった場合には、それ以降の積立が不要となること

といったメリットや、一方中途解約した場合の損失などのデメリットをお伝えし、もし仮に学資保険に加入するとしたら、月々いくらくらい払っていくかお聞きしました。

すると、現時点においては家計がトントンで、学資保険に加入するとその分赤字になるとのこと。また、児童手当をどうしているか確認したところ、これについては生活費と別の口座に入金させ、手を付けないようにしているとのこと。

そうなのです。学資保険には入っていないものの、そのお母さんはお子さんのために、ちゃんと学費の用意をしていたのです。私は学資保険に入る必要はない旨お伝えし、今後さらに積立を増やしたい時も、保険以外にも選択肢があることをご理解いただきました。

また、教育費は保険は使わないにしても、大工さん(個人事業主)として働いて、家計を支えているお父さんが全くの無保険ということで、どちらかというとお父さんへの保障の方が優先検討事項である旨をお知らせし、後日ご夫婦でご相談に来ることをお約束して、その時の相談は終わりました。

生命保険では守れないリスクが増えてきている現実

学費

昭和の時代は、学資保険に加入することはわりと常識というような雰囲気もありましたが、そもそも学資保険は必須のものではありません(まあ、生命保険すべてがそうですが)。ただ、金利の高かった昭和の時代は、学資保険の利回りも高かったので、利用しても悪くはなかったと思います。また、会社勤めしていれば、年功序列で毎年給料が上がっていましたので、組織に属していることで安心が得られました。

もうそういった時代はとうに終わっていて、今の若い人は全く違う頭で将来を描いていかなければなりません。特に国や会社という頼りがどんどん小さくなっていくので、自分で自分を守る手段を築かなければならない現実があります。

2020年からの新型コロナウィルスによるパンデミックが象徴的ですが、感染拡大で解雇されたり、会社が倒産して仕事を失ってしまった人、後遺症が長期化し、仕事をずっと休職しなければならない人がたくさん現れました。これらはものすごく大きなアクシデントですが、これらの出来事に対し、生命保険はあまり出番がありません。このケースで毎月の収入が失われた場合、基本的には自分の貯蓄が頼りです。

年間保険料支出の平均は

保険料

生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査」(二人以上の世帯調査)によると1世帯あたりの年間払込保険料(個人年金保険の保険料を含む)は平均38.2万円となっています。月にすると、約3.2万円です。これは平均値であるので、当然これよりも高い人もいれば、低い人もいます。

生命保険のあり方は、その世帯の人数、職業、資産状況などにより当然違います。ただ、私がこれまで10,000回以上の保険相談会に携わってきて、たくさんの生命保険商品に触れてきての感覚としては、どんなに手厚めの保障を組むとしても、ご夫婦で月20,000円以上となると、掛けすぎという感じがします。私は今、生命保険のセカンドオピニオン相談を行っていますが、ご夫婦で月15,000円くらいを上限に、できれば10,000円以内ですませるような商品選択、保障の組み方をお勧めしています。

生命保険をスリム化し、人生100年時代を生き抜いていくための備えに使おう!できればずっと楽しんで生きていけるように。

人生100年時代

先ほど述べたように、先行きに対する不透明感が大きくなってきているにもかかわらず、一般的な人の寿命は今後も伸びていくという見通しです。私たちは前よりも長くなる人生において、楽しんで生きていきたいならば、変化に対応していく知恵を備えていく必要があります。死亡や入院など、決められたアクシデントにだけしか対応できない生命保険への依存度を下げ、どんなことへも対応できる自由や資金を蓄えること、そして社会の状況が変わっても、稼いで食べていくことができるノウハウを身につけることに、時間やお金を使っていく必要性が高まっていると思います。

ですから現在の私のスタンスは、生命保険をスリム化し、浮いた資金を有効活用し、これからに備えていく、というアドバイスを提供するというものになっています。是非皆様もこの機会に、ご自身の生命保険の加入状況や貯蓄状況を見つめなおしてみてはいかがでしょうか。